ドローンで朝日や夕日を正面に入れて撮影すると、肉眼では美しかった景色が、記録した映像では空が真っ白になったり、山や建物が黒くつぶれたりすることがあります。
逆光はカメラが苦手とする明暗差の大きい条件ですが、太陽を避けるだけでは、光の筋、長く伸びる影、水面の反射、被写体の輪郭を縁取る光など、空撮ならではの印象的な表現も失われます。
大切なのは画面全体を無理に明るくすることではなく、白飛びさせたくない場所を決め、ISO感度、シャッタースピード、露出補正、ホワイトバランス、NDフィルターを目的に合わせて調整することです。
ここでは、ドローンの逆光撮影で最初に試したい設定をはじめ、写真と動画の違い、ヒストグラムの見方、撮影時刻や飛行ルートの考え方、RAW現像やカラー編集を前提にした記録方法まで、現場で迷いにくい順序で詳しく説明します。
ドローンの逆光撮影で使う基本設定

逆光撮影の基本は、空の明るい部分を完全に白飛びさせない範囲で露出を決め、暗くなった地上や被写体を撮影後に持ち上げられる状態で記録することです。
明るさを上げれば被写体は見やすくなりますが、太陽の周辺や雲の階調が消える可能性があるため、送信機の画面の見た目だけで判断せず、ヒストグラムや露出オーバー警告も併用します。
写真と動画では適したシャッタースピードが異なり、カメラの絞りを変えられる機種と固定絞りの機種でも調整手順が変わるため、自分の機体で変更できる項目を先に確認しておくと設定が安定します。
露出は明部を基準にする
逆光では、地上の暗さよりも太陽の周辺、明るい雲、水面や屋根の強い反射を基準に露出を決めると、撮影後に修正できない大きな白飛びを防ぎやすくなります。
カメラの自動露出は画面全体を平均的な明るさに近づけようとするため、空と地上の明暗差が大きい場面では、空を明るくしすぎたり、反対に地上を暗くしすぎたりすることがあります。
まず空の階調が残る明るさまで露出を下げ、その状態で地上の輪郭や色が最低限記録されているかを確認し、必要に応じて機体の位置やカメラ角度を変えて明暗差そのものを小さくします。
太陽を画面中央に入れる構図では光が強くなりやすいため、太陽を雲、山、建物、樹木の端に少し重ねるだけでも、ハイライトを抑えながら印象的な光を残しやすくなります。
逆光設定に唯一の正解値はなく、太陽の高度、雲量、地表の反射、センサー性能によって適正値が変わるため、明部を守るという優先順位を基準に微調整することが重要です。
露出補正はマイナスから試す
オート露出やシャッター優先に近いモードで撮る場合は、露出補正をマイナス側に設定すると、太陽の周囲や明るい空の白飛びを抑えやすくなります。
最初の目安はマイナス0.3EVからマイナス1.0EV程度ですが、夕日が画面の大部分を占める場面や水面反射が強い場面では、さらに暗くする必要が生じることもあります。
- 薄曇りの半逆光はマイナス0.3EV前後
- 朝日や夕日を入れる場合はマイナス0.7EV前後
- 強い水面反射ではマイナス1.0EV以上も検討
- 地上を主役にする場合は補正を弱める
数値だけを固定すると、旋回によって太陽の位置が変わった瞬間に露出が合わなくなるため、機首やジンバルを動かすたびに警告表示とヒストグラムを見直します。
被写体を明るく見せたいからと露出補正を大きくプラスにすると、暗部は見やすくなっても空の色情報を失うため、編集を行う予定があるなら少し暗めに記録するほうが安全です。
ISO感度は低く保つ
日中や朝夕の逆光撮影では、ISO感度をカメラが利用できる低い値に設定すると、暗部を編集で明るくした際のノイズや色むらを抑えやすくなります。
逆光では地上が暗く写るためISOを上げたくなりますが、ISO感度を高くすると空の白飛びを防げるわけではなく、ダイナミックレンジが狭くなってハイライトとシャドウの両方が扱いにくくなる場合があります。
| 撮影条件 | ISO感度の考え方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 晴天の日中 | 最低感度を優先 | シャッターが速くなりやすい |
| 朝日や夕日 | 低感度を基本 | 地上の黒つぶれを確認 |
| 薄暗い時間帯 | 必要な範囲だけ上げる | 暗部ノイズが増えやすい |
| 動画撮影 | 固定できるなら固定 | カット中の明るさ変化を防ぐ |
固定絞りのドローンではISO感度とシャッタースピードが露出調整の中心になるため、動画でシャッターを一定にしたい場合はNDフィルターを使って光量を調整します。
夜明け前や日没直後にISO感度を上げるときは、地上の細部をすべて明るく見せようとせず、シルエットとして残す部分を決めると画質の低下を抑えた作品に仕上げられます。
写真のシャッター速度を決める
静止画では、機体の揺れや被写体の動きによるぶれを避けられる範囲でシャッタースピードを決め、明るさはISO感度や絞り、露出補正で整えるのが基本です。
風が弱く、遠景の風景を撮る場面では比較的遅いシャッタースピードでも撮影できますが、上空では地上より風が強いことがあり、機体が位置を保っているように見えても細かな揺れが画像に影響します。
朝日や夕日の風景を確実に残したい場合は、同じ構図を一枚だけ撮るのではなく、シャッタースピードや露出を少し変えながら複数枚を記録すると失敗を減らせます。
水面や道路を意図的に滑らかに見せる長時間露光では、NDフィルターを装着し、風が弱いこと、衛星測位が安定していること、機体に警告が出ていないことを確認してから試します。
低速シャッターによる表現を優先して機体の安全確認がおろそかになると、撮影どころではなくなるため、風速や残量に余裕がない状況ではシャッタースピードを速めて確実性を優先します。
動画はフレームレートに合わせる
動画では、動きを自然に見せる目安として、シャッタースピードをフレームレートの約2倍の分母に設定する方法が広く使われています。
24fpsならおおむね1/50秒、25fpsなら1/50秒、30fpsなら1/60秒が出発点になり、この設定では旋回や前進時に適度なモーションブラーが生まれます。
晴天の逆光でISO感度を最低値にしても映像が明るすぎる場合は、シャッタースピードだけを極端に速くするのではなく、NDフィルターで入射光を減らすと動きの質感を維持できます。
ただし、強風時、速い追尾、スポーツ撮影、後から静止画を切り出す用途では、ぶれを減らすために目安より速いシャッタースピードを選ぶ判断も必要です。
映画的な見え方は数値だけで決まるものではないため、空の階調、機体速度、旋回速度、編集後の再生速度を含めて確認し、目的に合うシャッター設定を選びます。
NDフィルターは動きを整える
NDフィルターはサングラスのようにレンズへ入る光を減らす道具であり、逆光の明暗差そのものを縮める機能ではありませんが、動画のシャッタースピードを適切な範囲に保つために役立ちます。
晴天の昼間に低いISO感度と遅めのシャッターを維持したいときは濃いNDが必要になり、朝夕や薄曇りでは薄いND、またはフィルターなしのほうが適する場合があります。
- ND8は明るさを少し抑えたい場面
- ND16は晴天や朝夕の強い光
- ND32は日中の強い直射光
- ND64は非常に明るい環境や低速シャッター
- PL付きは反射の調整に向くが角度確認が必要
濃すぎるNDを装着すると、暗い地上を補うためにISO感度が上がり、結果としてノイズが増えることがあるため、撮影画面だけでなくISO値とヒストグラムも確認します。
太陽の向きが短時間で大きく変わる撮影では、交換作業のたびに離着陸が必要になるため、予定するカットの方向と時間帯を先に決めて適切な濃度を選ぶことが効率につながります。
ホワイトバランスを固定する
逆光の動画では、オートホワイトバランスのまま旋回すると、太陽が画面に入った瞬間や地上へカメラを向けた瞬間に色温度が変化し、一つのカットの途中で色が揺れることがあります。
朝夕の暖かさを残したい場合は、撮影前にケルビン値を固定し、空の青さと太陽の橙色が自然に共存する位置を探すと編集時の色合わせが容易になります。
晴天ではおおむね日中光に近い値、曇天ではやや高めの値が出発点になりますが、数値を覚えるよりも、白い建物や雲が不自然な青や橙になっていないかを見るほうが実践的です。
写真をRAWで撮る場合は撮影後に色温度を調整しやすいものの、現場で極端にずれた表示のまま撮ると露出や色の判断を誤りやすいため、撮影時にも大きく外さない設定が必要です。
複数のカットをつないで一本の映像にするなら、同じ時間帯と方向の撮影ではホワイトバランスを統一し、太陽高度が変わった段階で新しい値へ切り替えます。
RAWやLogで階調を残す
逆光の静止画ではJPEGだけでなくRAWも保存すると、暗く写った地上を持ち上げたり、明るい空を抑えたりするときの調整余地を確保しやすくなります。
動画では、対応機種でLog系やフラットなカラーモードを選ぶと広い階調を扱いやすくなりますが、撮影後のカラー調整を前提とするため、撮ってそのまま共有する用途には標準モードが扱いやすい場合があります。
RAWやLogを選んでも完全に白飛びした部分の情報が必ず戻るわけではなく、太陽の中心や鏡面反射のように極端に明るい部分は記録段階で階調を失うことがあります。
一方で露出を下げすぎると暗部ノイズが増え、色を持ち上げたときに緑や紫のむらが目立つため、白飛び回避だけを意識して必要以上に暗く撮らないことも重要です。
編集経験が少ない人は、RAWとJPEGの同時保存や、標準カラーと低コントラスト設定の試し撮りを行い、使用する編集環境でどこまで戻せるかを事前に把握しておくと安心です。
ヒストグラムで限界を見る
送信機の画面は周囲の明るさや画面輝度によって見え方が変わるため、逆光ではヒストグラムと露出オーバー警告を表示し、画像データの偏りを客観的に確認します。
ヒストグラムの右端に大きな山が張り付いている場合は明部の階調が失われている可能性があり、左端に大きく張り付いている場合は暗部が黒くつぶれている可能性があります。
太陽を直接入れる構図では中心部が白くなること自体を完全に避けられない場合もあるため、太陽の小さな範囲ではなく、周囲の雲や空まで警告表示が広がっていないかを見ます。
警告表示が出たら露出を下げるだけでなく、ジンバル角度を下げる、太陽を画面の端へ移す、高度を変える、雲や建物で光を一部遮るといった構図上の対策も有効です。
ヒストグラムに理想的な形が一つあるわけではなく、シルエット表現では左側へ寄ることも自然なため、残したい部分の階調が記録されているかを基準に判断します。
写真で白飛びと黒つぶれを抑える方法

静止画の逆光撮影では、一枚の中に明るい空と暗い地上を収めるため、通常の順光よりも露出の判断が難しくなります。
ドローンは構図を少し変えるだけで太陽と被写体の重なり方を調整できるため、設定だけで解決しようとせず、高度、距離、ジンバル角度を組み合わせることが大切です。
一枚撮影、露出ブラケット、シルエット表現を使い分ければ、センサーの限界を超える明暗差がある場面でも、目的に合った仕上がりを得やすくなります。
露出ブラケットを活用する
空と地上の両方を一枚の露出で残せない場面では、明るさの異なる写真を連続撮影するAEBなどの露出ブラケット機能が有効です。
基準露出に加えて明るい写真と暗い写真を記録しておけば、最も状態のよい一枚を選べるほか、編集ソフトで合成して明部と暗部の階調を広げることもできます。
- 機体を静止させてから撮影する
- 構図を決めてジンバル操作を止める
- 風が弱い瞬間を選ぶ
- 動く車や波の位置ずれに注意する
- RAW保存を併用する
風で樹木が揺れていたり、車や船が動いていたりすると、合成時に輪郭が二重になるゴーストが生じる可能性があるため、動く部分が多い場面では一枚のRAWを丁寧に仕上げる方法も検討します。
ブラケット撮影は設定の失敗を救う保険としても役立ちますが、合成を前提に露出を雑に決めるのではなく、基準となる一枚でも空の階調が残る状態を目指します。
残したい階調を先に決める
逆光写真では、空、太陽、雲、地上、建物、人物のすべてを同じ明るさで見せようとすると、画面が不自然になったり、編集によるノイズが増えたりします。
撮影前に主役を一つ決め、主役の形、色、質感のうち何を残したいかを整理すると、露出の基準が明確になります。
| 主役 | 優先する階調 | 露出の考え方 |
|---|---|---|
| 朝日や夕日 | 空と雲の色 | 明部を優先して暗め |
| 建物や街並み | 壁面や道路 | 太陽を外して地上を確保 |
| 人物や車両 | 輪郭や識別性 | 半逆光へ移動して調整 |
| 山や樹木 | 形と重なり | シルエットも選択肢 |
| 水面 | 反射と波 | 警告表示を見て抑える |
たとえば夕焼けを主役にするなら地上を完全に明るくする必要はなく、地上を黒い前景として残すことで空の色と形を強調できます。
反対に建築物の記録が目的なら、太陽を構図から外すか、半逆光になる位置へ機体を移し、建物の面にわずかな光が回る角度を選ぶほうが情報量を確保できます。
シルエットを意図して作る
暗部を失敗として扱うのではなく、山、橋、樹木、塔、人物などの形をシルエットとして見せると、逆光の強さを生かした写真になります。
シルエットを成功させるには、被写体同士が重なりすぎない位置を選び、輪郭だけでも何が写っているか分かる構図にすることが重要です。
地上の細部を中途半端に明るく残すと黒い部分にノイズや色むらが目立つため、シルエットを狙う場合は空に合わせて露出を決め、暗部を潔く落とすほうが画面を整理できます。
太陽と被写体を完全に重ねる構図だけでなく、被写体の端から光が見える位置にすると、輪郭に明るい縁が生まれ、立体感を保ちやすくなります。
機体を横方向へ数メートル移動するだけで重なり方が大きく変わるため、同じ高度で複数の位置を試し、最も輪郭が読みやすい一枚を選びます。
動画で逆光を自然に見せる設定

動画では一枚ごとの明るさだけでなく、カットの途中で露出や色が変化しないこと、旋回や前進の動きが滑らかに見えることも重要です。
オート設定は急な明るさの変化へ対応しやすい一方、太陽が画面へ入るたびに露出やホワイトバランスが動き、編集でつなぎにくい映像になる場合があります。
撮影方向が決まったら露出、ISO感度、シャッタースピード、ホワイトバランスを可能な範囲で固定し、一本のカットの中で光の条件が大きく変わらない飛行ルートを選びます。
マニュアル露出を固定する
逆光動画ではマニュアル露出を使い、カット開始前に空のハイライトが残る設定を作ってから録画すると、飛行中の不自然な明るさ変化を防ぎやすくなります。
太陽へ向かって進むカットでは徐々に光が強くなるため、開始地点の見え方だけでなく、最も太陽に近づく位置まで想定して露出を決めます。
- ISO感度を低い値で固定する
- フレームレートを先に決める
- シャッタースピードを決める
- NDフィルターで明るさを整える
- ホワイトバランスを固定する
- 警告表示を確認して録画する
飛行ルートの途中で太陽が建物や山の陰へ入る場合は、明暗差が急激に変わるため、一続きで撮らず、光の状態が切り替わる場所でカットを分けると編集しやすくなります。
露出を固定すると暗い方向へ旋回した際に地上が沈むことがありますが、後から明るさを補う予定なら、カット中の露出変動を避ける利点のほうが大きい場合があります。
フレームレートで印象を変える
24fpsや25fpsは映画的な動きを作りやすく、30fpsはウェブ動画や一般的な記録に使いやすく、50fpsや60fpsは滑らかな再生やスローモーション素材に適しています。
フレームレートを高くすると対応するシャッタースピードも速くなり、同じ明るさを得るために薄いNDへ交換したり、ISO感度を上げたりする必要が生じます。
| フレームレート | シャッターの目安 | 向く用途 |
|---|---|---|
| 24fps | 1/50秒前後 | 作品映像やゆっくりした飛行 |
| 25fps | 1/50秒前後 | 一般映像や照明環境への対応 |
| 30fps | 1/60秒前後 | ウェブ動画や風景記録 |
| 50fps | 1/100秒前後 | 滑らかな動きや減速編集 |
| 60fps | 1/120秒前後 | 速い被写体やスローモーション |
逆光では空の階調を守ることが優先ですが、シャッタースピードを速くしすぎると地上の移動や旋回が細かく途切れた印象になるため、NDフィルターとの組み合わせを検討します。
撮影後に24fpsや30fpsへ変換する予定がある場合は、最終的な再生速度と編集方法を先に決め、必要のない高フレームレートで容量と光量を消費しないことも大切です。
カメラワークをゆっくり行う
逆光ではレンズフレア、光芒、ゴースト、露出変化が目立ちやすいため、急旋回や急なジンバル操作を避け、光の変化を見せるようにゆっくり動かすと映像が安定します。
太陽を画面外から徐々に入れるカットでは、フレアが発生する位置や形を事前に確認し、最も美しく見える範囲だけを録画に使用します。
高速で前進すると地上の流れが速くなり、遅めのシャッターではぶれが大きくなるため、高度を上げる、速度を落とす、カメラを水平に近づける方法で動きの量を調整します。
ジンバルを下向きから水平へ動かして太陽を見せる場合は、操作速度を一定にし、太陽が入った直後に停止せず、余韻として数秒の静止部分を残すと編集点を作りやすくなります。
印象的な逆光映像は複雑な飛行によって生まれるとは限らず、一定速度の直進、緩やかな上昇、横移動だけでも、光と影の変化を丁寧に見せれば十分な効果を得られます。
光の位置と飛行ルートで仕上がりを変える

逆光撮影はカメラ設定だけでなく、太陽に対して機体をどこへ置くかによって難易度と仕上がりが大きく変わります。
正面から強い光を受ける完全な逆光を少し外し、斜め後方から光が当たる半逆光へ移動すると、空の雰囲気を残しながら地上の立体感も表現しやすくなります。
撮影予定地の地形、建物の向き、太陽の移動、離着陸地点からの視認性を確認し、撮影したい瞬間に安全な位置へ到達できるルートを組み立てます。
半逆光を最初に試す
逆光撮影に慣れていない場合は、太陽を真正面に置くのではなく、画面の斜め後方から光が入る半逆光の位置から試すと露出を整えやすくなります。
半逆光では被写体の正面が完全な影になりにくく、建物や山の側面へ光が当たるため、輪郭と質感を両立しやすいことが利点です。
- 太陽を画面の端へ置く
- 被写体の側面に光を当てる
- 影が伸びる方向を構図へ入れる
- フレアが強い場合は角度を少し変える
- 明るい反射面を中央から外す
完全な逆光から機体を横へ移動すると、わずかな角度差でも地上の明るさが大きく変わるため、録画前に短いテスト飛行を行い、最も階調が残る位置を探します。
半逆光で基準となる設定を作ってから太陽へ正対していけば、どの角度で白飛びやフレアが急増するかを把握でき、撮影可能な範囲を判断しやすくなります。
時間帯で光の強さを選ぶ
太陽が高い時間帯は光が強く、地上へ短く濃い影が落ちやすい一方、日の出や日没に近い時間帯は光が柔らかく、長い影と暖かな色を表現しやすくなります。
撮影時刻を決める際は、日の出や日没の時刻だけでなく、周囲の山、建物、樹木によって実際に太陽が見える時刻が変わる点も考慮します。
| 時間帯 | 光の特徴 | 設定上の注意 |
|---|---|---|
| 日の出前後 | 空の色が変化しやすい | ISO上昇と残量に注意 |
| 午前 | 比較的安定した光 | 撮影方向を選びやすい |
| 正午前後 | 強い光と短い影 | NDと白飛び対策が重要 |
| 夕方 | 長い影と暖色 | 露出変化が速い |
| 日没直後 | 空と地上の差が縮まる | 暗部ノイズを確認 |
夕日は短時間で明るさが変わるため、撮影地点へ到着してから設定を考えるのではなく、明るいうちに構図、NDフィルター、フレームレート、帰還経路を決めておきます。
日没後まで撮影を続けると周囲の視認性や障害物の見え方も変わるため、作品上の理想だけでなく、安全に帰還できる明るさと余裕を優先します。
太陽を障害物で隠す
太陽をそのまま画面へ入れると明暗差が大きすぎる場合は、山頂、建物の角、橋脚、樹木、雲などへ太陽を少し重ねることで光量を抑えられます。
太陽が被写体の端からわずかに見える位置では光芒や縁取りが生まれやすく、完全に隠した位置では地上の階調を残しながら逆光らしい雰囲気を維持できます。
ドローンでは高度を数メートル変えるだけでも太陽との重なり方が変わるため、大きく移動する前にゆっくり上昇や下降を行い、光の見え方を探ります。
太陽を隠す被写体へ近づきすぎると、障害物との距離や電波環境に注意が必要になるため、望遠カメラを搭載した機種では安全な距離を保ったまま重なりを調整する方法も有効です。
雲で太陽が隠れる場面は光量が急変しやすいので、雲が移動する方向を見ながら、露出を変えずに撮れる瞬間と設定変更が必要な瞬間を分けて記録します。
現場で失敗を減らす撮影手順

逆光撮影では、離陸後にすべての設定を考え始めるとバッテリーを消耗し、最も光が美しい時間を逃す可能性があります。
地上で撮影目的と基準設定を決め、上空では構図と微調整へ集中すると、短い飛行時間でも写真と動画の両方を効率よく記録できます。
レンズの汚れ、NDフィルターの選択、記録形式、警告表示、飛行ルート、帰還に必要な残量まで一連の手順として確認することが、設定値以上に重要です。
離陸前に基準設定を作る
離陸前には、撮影モード、解像度、フレームレート、記録形式、ホワイトバランス、ISO感度を決め、ヒストグラムと露出オーバー警告を表示します。
レンズやフィルターに指紋、ほこり、水滴が付着していると、逆光で白いかすみや不自然なフレアが強く出るため、明るい場所で表面を確認して清掃します。
- レンズとフィルターを清掃する
- 写真はRAW保存を確認する
- 動画は解像度とfpsを決める
- ISO感度を低く設定する
- ホワイトバランスを固定する
- ヒストグラムを表示する
- 帰還高度と障害物を確認する
NDフィルターを装着した場合は、機体を起動しただけで安心せず、実際の撮影方向へカメラを向け、ISO感度が必要以上に上がっていないかを確認します。
地上と上空では見える景色や光の角度が異なるため、離陸前の設定を完成値と考えず、上昇後に微調整するための基準値として用意します。
上空では表示を順番に見る
上空で構図を決めたら、送信画面の印象だけで撮影を始めず、露出オーバー警告、ヒストグラム、ISO感度、シャッタースピードの順に確認すると判断が整理しやすくなります。
明るさの確認中に機体が流されたり、障害物へ近づいたりしないよう、設定操作を行う場所は十分な空間と高度を確保します。
| 確認項目 | 見るポイント | 問題がある場合 |
|---|---|---|
| 警告表示 | 空へ広く出ていないか | 露出や角度を下げる |
| ヒストグラム | 左右端への張り付き | 露出と構図を調整 |
| ISO感度 | 意図せず上昇していないか | ND濃度を見直す |
| シャッター | 目的の速度を保てているか | 光量を調整する |
| 色温度 | 不自然な色になっていないか | 固定値を修正する |
太陽が画面内にある場合は一部の警告表示を許容する判断も必要ですが、雲、水面、建物の広い範囲まで警告が広がるなら、記録したい階調が失われる可能性があります。
一度決めた設定でも飛行方向、高度、太陽の位置が変われば条件は変化するため、新しいカットへ移るたびに同じ順序で確認します。
同じ構図を複数設定で残す
逆光では送信画面上で適切に見えても、帰宅後の大きな画面では白飛び、ノイズ、フレア、ピントの甘さが見つかることがあります。
重要な構図では一回だけシャッターを切らず、露出を少し変えた写真、カメラ角度を変えた写真、太陽を画面外へ移した写真を残すと選択肢が増えます。
動画でも同じ飛行を何度も繰り返す必要はありませんが、露出を明部優先と地上優先で分けたり、太陽を入れるカットと入れないカットを撮ったりすると編集で組み立てやすくなります。
撮影を重ねるとバッテリー残量が減り、光の変化へ気を取られて帰還判断が遅れる可能性があるため、優先順位の高いカットから先に記録します。
最後に保険の一枚を撮るため遠くへ飛び直すのではなく、残量が十分な段階で主要カットを終え、帰還経路上で安全に撮れる補助カットを追加する流れが適切です。
明部を守る設定が逆光空撮の完成度を高める
ドローンの逆光撮影では、まずISO感度を低く保ち、空の白飛びをヒストグラムと露出オーバー警告で確認しながら、露出補正やマニュアル露出で明るさを整えることが基本です。
写真ではRAW保存や露出ブラケットを利用し、動画ではフレームレートに合うシャッタースピード、適切なNDフィルター、固定したホワイトバランスを組み合わせると、編集しやすく安定した素材を残せます。
地上が暗いからと全体の露出を上げるだけでは、太陽や雲の階調を失うため、残したい被写体を先に決め、必要に応じてシルエット、半逆光、太陽を障害物へ重ねる構図を選びます。
逆光の明暗差を設定だけで解消できない場合でも、機体を横へ移動する、高度を変える、撮影時刻をずらす、カットを分けるといった方法により、カメラが記録しやすい光へ変えられます。
数値を固定的な正解として覚えるのではなく、明部を守る、暗部のノイズを増やしすぎない、カット中の色と明るさを安定させるという三つの基準を持ち、機体と撮影環境に合わせて調整することが、逆光空撮を成功させる近道です。


