ドローンのアクティブトラックを使えば、走る人物や自転車、車両などの被写体をカメラで認識し、フレーム内に収めながら自動的に追尾する映像を撮影できます。
しかし、画面上で被写体を選択するだけで安全に撮れるわけではなく、対応機種の確認、追尾モードの選択、障害物との距離、被写体の速度、ホームポイント、電波状況などを事前に整える必要があります。
特に初心者は、障害物検知機能があれば木の枝や電線も確実に避けられると考えたり、自動追尾中は送信機を操作しなくてもよいと思ったりしがちですが、アクティブトラックは操縦者に代わって安全を保証する機能ではありません。
ここでは、DJI製ドローンで一般的に使われるアクティブトラックを中心に、起動から被写体の指定、モードの選び方、映像を安定させる設定、追尾できない場合の対処、日本で飛行させる際のルールまで、初めて使う人にも実践しやすい順番で紹介します。
ドローンのアクティブトラックの使い方

アクティブトラックの基本的な流れは、対応状況を確認し、安全な場所で機体を離陸させ、カメラ画面上で被写体を指定してから追尾モードを開始するというものです。
実際の画面表示や選択できるモードは、機体、送信機、DJI Flyアプリのバージョン、撮影時の解像度などによって異なるため、インターネット上の古い操作画面をそのまま当てはめないことが大切です。
最初から人物を走らせたり車両を追わせたりせず、障害物のない広い場所で静止した被写体を指定し、低速かつ短い距離から操作を覚えると、追尾の開始条件と停止方法を安全に確認できます。
仕組みを理解する
アクティブトラックは、ドローンのカメラ映像から人物や車両などの被写体を認識し、対象の位置や移動方向を分析しながら、機体の飛行とジンバルの向きを制御する自動追尾機能です。
多くのDJI製ドローンでは、被写体を画面内に捉えるスポットライト、被写体の周囲を移動しながら追うアクティブトラック、対象の周囲を旋回するポイントオブインタレストが、フォーカストラックという撮影機能の中にまとめられています。
アクティブトラックを開始すると、操縦者がスティックを常に倒し続けなくても被写体に合わせて機体が移動しますが、被写体の識別、進路の選択、障害物回避には機体ごとの限界があり、周囲の安全確認まで自動化されるわけではありません。
そのため、自動追尾を便利な撮影補助として利用しつつ、操縦者は機体を直接監視し、第三者の接近、電波の変化、バッテリー残量、障害物、有人航空機などを継続して確認する必要があります。
対応状況を確認する
最初に確認したいのは、所有しているドローンがアクティブトラックに対応しているか、どのカメラや撮影設定で利用できるか、どの方向の障害物を検知できるかという点です。
同じDJI製ドローンでも、機種や世代によってActiveTrack 5.0やActiveTrack 360°などの名称が使われ、選択できる追尾方向、認識可能な被写体、障害物検知範囲、追尾中の最高速度などが異なります。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 対応機能 | ActiveTrackの有無 |
| 使用アプリ | DJI Flyなどの指定アプリ |
| 対象 | 人物や車両などの認識範囲 |
| 撮影設定 | 利用可能な解像度と倍率 |
| 障害物検知 | 前後左右上下の対応範囲 |
| 追尾方向 | 後方や側方などの選択範囲 |
たとえばDJI Mini 4 ProはActiveTrack 360°と全方向障害物検知に対応していますが、すべてのMiniシリーズが同じ機能を備えているわけではないため、DJI公式サポートや取扱説明書で所有機の仕様を確認することが重要です。
アプリやファームウェアを更新したことで表示や動作が変わる場合もあるため、撮影当日に初めて更新するのではなく、事前に更新とテスト飛行を済ませ、操作方法に変化がないか確かめておきましょう。
飛行場所を整える
アクティブトラックの練習場所には、木、電柱、電線、フェンス、標識、建物、駐車車両などが少なく、被写体が移動しても第三者の上空へ入らない広い敷地が適しています。
障害物検知センサーは、細い枝、電線、透明な面、反射の強い面、模様の少ない壁、暗い場所などを常に正確に認識できるとは限らないため、センサーが搭載されていても障害物の少ない環境を選ぶことが基本です。
被写体が進む予定のルートだけでなく、機体が後方や側方へ回り込む可能性のある範囲、追尾を失ってホバリングする位置、緊急停止後に着陸できる場所まで歩いて確認すると、画面からは見えにくい危険を事前に減らせます。
私有地では土地管理者の許可を確認し、公園、河川敷、海岸、観光施設、キャンプ場などでは、航空法とは別に施設規則や自治体の条例でドローン飛行が制限されていないかも確認してください。
機体を起動する
飛行前には、機体、送信機、必要に応じてスマートフォンの電源を入れ、アプリと機体が正常に接続されていること、コンパスやセンサーに警告が出ていないこと、十分なGNSS衛星を捕捉していることを確認します。
プロペラの傷や変形、バッテリーの膨らみ、レンズや障害物検知センサーの汚れも追尾の安定性や安全性に影響するため、単に映像が表示されているだけで飛行可能と判断してはいけません。
離陸後はすぐにアクティブトラックを開始せず、低い高度でホバリングさせて機体の傾き、異音、映像伝送、スティック操作、ブレーキ動作、ホームポイントの記録位置を確かめます。
ホームポイントが道路、斜面、水辺、人の集まる場所などに記録されている場合は安全な位置へ移動し、送信機との通信が切れた場合に自動帰還するのか、その場でホバリングするのか、着陸するのかという電波断時の動作も設定画面で確認しましょう。
被写体を指定する
カメラ画面に追尾したい人物や車両を十分な大きさで映し、機種に応じて被写体をタップするか、指で囲むようにドラッグして認識枠を表示させます。
被写体が小さすぎる場合、背景と似た色の場合、木や建物に部分的に隠れている場合、複数の似た人物が重なっている場合は、正しい対象を認識できなかったり、移動中に別の対象へ枠が移ったりすることがあります。
人物を追う場合は、背景との差が分かりやすい服装を選び、帽子や上着を途中で脱がないようにすると認識を維持しやすくなり、車両を追う場合も同じ色や形の車が密集する場所を避けると安定します。
認識枠が表示されてもすぐに被写体を動かさず、機体が正しい対象をロックしているか、追尾モードの表示が有効になっているか、周囲に回り込むための空間があるかを確認してから開始してください。
追尾方法を選ぶ
被写体を指定した後は、機種に用意されているトレース、平行、ActiveTrack 360°の追尾方向などから、撮りたい映像と飛行場所に合う方法を選択します。
被写体の後方から追えば進行方向と周囲の風景を自然に見せやすく、側方から並走すれば移動速度を表現しやすく、前方から後退しながら撮れば表情を見せやすくなります。
ただし、前方からの追尾では機体が後ろ向きに飛ぶ場面があり、側方追尾では横方向へ移動するため、機種のセンサー配置や検知範囲によっては進行方向の障害物を十分に確認できない可能性があります。
初回は被写体の後方か斜め後方を選び、低速でまっすぐ進む動きから試し、停止や方向転換に対する機体の反応を把握してから側方や前方の追尾へ進むと安全です。
追尾を開始する
追尾方向と距離を確認したら、画面上の開始ボタンやGO表示をタップし、機体が動き始める前に被写体へ合図を送って、ゆっくり移動を始めてもらいます。
開始直後は機体が被写体との位置関係を調整するため、急に横へ移動したり高度を変えたりする可能性を考え、操縦者も被写体も一定の場所に立ち止まらず、予定した動線を共有しておくことが大切です。
- 最初は歩く速度で開始
- 進路は直線を選択
- 急旋回を避ける
- 機体を直接監視
- 停止操作へ指を準備
- 補助者と合図を共有
追尾中でも機種によってはスティック操作で高度、距離、角度、構図を調整できますが、大きな操作を加えると自動制御と重なって予想以上に機体が移動するため、微調整から試してください。
被写体役と操縦者が同一人物になると、走行や運転に意識を取られて機体を直接監視できなくなるおそれがあるため、安全な練習では操縦担当と被写体担当を分ける方法が適しています。
安全に停止する
予定した撮影地点へ近づいたら、被写体を先に減速させ、画面上の停止ボタンを押すか機種指定の操作を行って追尾を解除し、機体が安定してホバリングしたことを確認します。
被写体が急停止すると、一定距離を保とうとする機体が接近したり回り込んだりする場合があるため、撮影終了の合図を受けた後も、機体の追尾が解除されるまでは被写体がゆっくり動く方が安全です。
緊急時は撮影の構図を守ろうとせず、ブレーキや一時停止に割り当てられたボタンで自動飛行を止め、機体をホバリングさせてから手動で安全な方向へ移動させます。
停止後はバッテリー残量とホームポイントまでの距離を確認し、余裕があるうちに帰還と着陸を行い、撮影データの確認はプロペラを停止して安全を確保してから実施しましょう。
撮りたい映像に合う追尾モードを選ぶ

アクティブトラックを使っても映像が単調に見える場合は、機能の問題ではなく、被写体に対する機体の位置や追尾方向が撮影目的と合っていない可能性があります。
同じランニング映像でも、後方から追う構図、横から並走する構図、前方から表情を捉える構図では、映像から受ける印象や必要な安全範囲が大きく変わります。
まずは各モードの違いを理解し、見栄えだけでなく、飛行場所の広さ、センサーの方向、被写体の速度、障害物の位置まで含めて選びましょう。
スポットライト
スポットライトは、カメラが被写体をフレーム内に捉え続ける一方で、機体の移動は基本的に操縦者がスティックで行うため、自動追尾を始める前の練習に向いています。
カメラやジンバルの向きを機体側が補助してくれるので、操縦者は高度と進行方向の管理に集中しやすく、静止した人物やゆっくり動く被写体の周囲を手動で移動する撮影にも利用できます。
ただし、被写体を画面内に保つ機能であって、障害物に合わせて安全な飛行ルートを自動作成することを保証するものではないため、被写体ばかり見ずに機体の進行方向を確認しなければなりません。
初めてフォーカストラックを使う場合は、スポットライトで被写体の指定と解除を覚えた後、短い距離のアクティブトラックへ移ると、機体が自動で動く場面にも落ち着いて対応できます。
トレース
トレースは、被写体との距離や角度を保ちながら追尾する代表的なモードで、ランニング、自転車、アウトドア活動、車両の走行など、進行方向が比較的分かりやすい場面に適しています。
機種によっては被写体の後方だけでなく、斜め後方、側方、前方などから追えるため、撮影前に画面上の追尾方向を確認し、機体が実際に移動する空間を確保する必要があります。
| 追尾位置 | 映像の特徴 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 後方 | 進行方向を見せやすい | 被写体の急停止 |
| 斜め後方 | 人物と風景を両立 | 側面の障害物 |
| 側方 | 速度感を表現しやすい | 横移動の安全範囲 |
| 前方 | 表情を捉えやすい | 後退方向の障害物 |
初心者が使いやすいのは後方か斜め後方ですが、被写体に近づきすぎると急停止時の余裕がなくなり、離れすぎると被写体が小さくなって認識を失いやすくなるため、短い距離で調整します。
DJI公式の機能説明でも、トレースでは一定の距離で被写体を追跡すると案内されていますが、回避性能や利用条件は機種によって異なるため、所有機の説明書を優先してください。
平行飛行
平行飛行は、被写体の移動軌跡に並ぶように機体を飛ばし、人物や車両を横から捉え続ける撮影方法で、移動速度や背景の流れを表現したい場面に向いています。
後方追尾よりも映像に動きが出やすい一方、機体が横方向へ移動するため、操縦者から見た奥行きや障害物までの距離を判断しにくく、広い横幅が必要です。
- 海岸沿いのランニング
- 開けた草原の自転車
- 管理されたコースの車両
- 広い敷地での歩行撮影
- 障害物のない練習飛行
道路、歩道、駐車場などで横方向へ飛ばすと、第三者や車両の進路へ入りやすいため、撮影関係者だけで管理できる場所を選び、一般交通のある場所では安易に使用しないでください。
古い機種や特定のモードでは側方の障害物検知が十分に働かない場合もあるため、全方向障害物検知という表現だけで判断せず、選択中のモードで利用できるセンサーと回避動作を確認しましょう。
追尾を安定させる撮影設定

アクティブトラックで見やすい映像を撮るには、被写体を認識させるだけでなく、機体との距離、高度、移動速度、カメラ設定、帰還条件を撮影前に整える必要があります。
被写体へ近づけば迫力は出ますが、画面から外れやすくなり、障害物や急停止への余裕も減るため、最初から映像の迫力だけを優先するのは危険です。
安全に撮影できる範囲を先に決め、その範囲の中で画角や速度を調整すると、追尾の失敗や撮り直しを減らしながら安定した素材を残せます。
高度と距離
追尾開始時の高度は、被写体を識別できる低さと、地面付近の障害物を避けられる高さの両方を考え、周囲を確認したうえで余裕のある位置に設定します。
低すぎると草、標識、フェンス、人の頭上付近などが進路に入りやすく、高すぎると被写体が小さくなって認識を失いやすいうえ、風の影響も受けやすくなります。
| 設定 | 低すぎる場合 | 高すぎる場合 |
|---|---|---|
| 高度 | 地上障害物へ接近 | 被写体が小さくなる |
| 距離 | 急停止に対応しにくい | 認識を失いやすい |
| 画角 | 動きが大きく見える | 速度感が弱くなる |
| 安全余裕 | 回避空間が少ない | 周囲確認が難しくなる |
適切な距離は機体、レンズ、被写体、速度によって変わるため、特定の数値をすべての撮影に当てはめず、被写体が画面内で十分に識別でき、急な動きにも対応できる距離をテストで探します。
ズームを使える機体では、機体を近づける代わりに焦点距離を調整できる場合がありますが、カメラや倍率によってアクティブトラックの利用可否が変わることもあるため、設定変更後に追尾表示を確認してください。
速度と進行方向
被写体の速度が速いほど迫力のある映像になりますが、機体が追いつける速度だけでなく、向かい風、旋回、上昇、障害物回避に使う余力も残す必要があります。
製品仕様に記載された最高飛行速度は理想的な条件での数値であり、追尾モードの速度、風がある環境、障害物回避が働く状況では同じ速度を維持できるとは限りません。
- 歩行から練習
- 直線ルートを選択
- 一定速度を維持
- 急加速を避ける
- 急な折り返しを避ける
- 向かい風を考慮
自転車や車両を撮る場合は、最初から通常の走行速度で開始せず、機体が追尾位置を維持できる速度を段階的に確認し、被写体役が独断で加速しないよう合図を決めます。
進行方向を変えると機体も新しい位置へ回り込もうとするため、狭い場所で急旋回すると障害物へ近づきやすくなり、特に木や建物の周囲を一周するような経路では十分な外側空間が必要です。
カメラと帰還設定
追尾撮影では被写体と背景の明るさが変わりやすいため、露出を完全な自動設定に任せると映像の明るさやシャッター速度が大きく変化し、場面によっては動きが不自然に見えることがあります。
一方で、飛行経験が少ない段階から露出、シャッター速度、ISO、ホワイトバランスをすべて手動で調整すると安全確認がおろそかになりやすいため、最初は自動設定を基本にして撮影操作を減らす方法が現実的です。
帰還高度は撮影エリア内の高い障害物を考慮して設定しますが、電線や細い枝を避けられる保証はなく、高く設定しすぎれば風が強い空域へ上昇したり、法令上の高度制限へ近づいたりするため、現場ごとの判断が必要です。
バッテリー警告が出てから撮影を終了するのではなく、ホームポイントまでの距離、風向き、帰路に必要な電力を考え、十分な残量を残して追尾を解除することで、自動帰還へ移行する前に落ち着いて着陸できます。
追尾できない原因を切り分ける

アクティブトラックが開始できない、途中で被写体を見失う、機体の動きが不安定になる場合は、故障と決めつける前に、撮影設定、被写体の見え方、光量、背景、速度、アプリの状態を順番に確認します。
複数の条件を一度に変更すると原因が分からなくなるため、被写体を静止させ、明るい場所へ移動し、標準的な動画設定へ戻すなど、一つずつ条件を単純化することが効果的です。
それでも改善しない場合は、アプリやファームウェアの更新状況、対応カメラ、機体の警告履歴を確認し、必要に応じてメーカーサポートへ相談しましょう。
被写体を見失う
追尾中に被写体を見失う主な原因は、対象が小さくなる、障害物の陰へ入る、背景と同化する、急に方向を変える、似た人物や車両と重なるといった視覚的な変化です。
機体によっては対象を失った後にその場でホバリングしますが、動作は設定や状況によって異なる可能性があるため、追尾が外れた瞬間に操縦者が手動操作へ戻れるよう準備します。
| 症状 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 枠が消える | 被写体が小さい | 距離を短くする |
| 別の対象を追う | 似た対象が重なる | 撮影場所を変える |
| 物陰で解除 | 被写体が遮られる | 見通せる経路を選ぶ |
| 旋回時に外れる | 方向転換が急 | 大きく緩やかに曲がる |
| 夕方に不安定 | 光量が不足 | 明るい時間に撮る |
認識を維持しようとして機体を急接近させると安全距離を失うため、いったん追尾を止め、安全な位置でホバリングさせてから被写体を再指定する方が確実です。
同じ場所で何度も追尾を失う場合は、服装、背景、光量、経路のいずれかに原因がある可能性が高いため、機体だけでなく撮影条件そのものを変更して比較してください。
機体の動きが乱れる
追尾中に機体が左右へ細かく動いたり、被写体との距離が安定しなかったりする場合は、被写体の速度変化、風、GNSS信号、ビジョンセンサーが捉える地面の模様などが影響している可能性があります。
水面、雪面、均一な床、暗い地面、反射の強い場所では下方センサーが位置を判断しにくくなることがあり、狭い場所や低高度では小さな動きでも大きな揺れに見えます。
- 風の弱い時間へ変更
- 速度を落とす
- 高度を少し上げる
- 直線ルートへ戻す
- 明るい場所へ移動
- センサーを清掃
スポーツモードなど障害物検知や自動撮影機能に制限が出る飛行モードを選んでいると、アクティブトラックを利用できない場合があるため、指定された通常の飛行モードへ戻して確認します。
プロペラの変形、機体へのアクセサリー装着、ジンバルの異常、校正を求める警告がある場合は、設定変更だけで解決しようとせず、飛行を中止して機体の状態を点検してください。
画面に機能が出ない
アクティブトラックの項目が表示されない場合は、機体が非対応である可能性だけでなく、選択中の解像度、フレームレート、カメラ倍率、飛行モード、縦向き撮影などが利用条件から外れている場合があります。
まず撮影モードを通常の動画へ戻し、標準カメラと標準倍率を選択し、機体を安定してホバリングさせた状態で、カメラ画面上の被写体をタップまたはドラッグしてみます。
アプリと機体のファームウェアに組み合わせのずれがある場合も考えられるため、更新内容を確認してから両方を適切な状態にそろえ、更新後は安全な場所で基本操作を再確認します。
古い解説ではDJI GO 4アプリの送信機アイコンから機能を選ぶ手順が紹介されることがありますが、現在のDJI Fly対応機では操作画面が異なるため、所有機の公式マニュアルとアプリ内ガイドを基準にしてください。
安全な追尾撮影に必要なルールを確認する

アクティブトラックを利用しても、操縦者が負う安全管理や法令上の責任が機体へ移るわけではなく、自動飛行中も周囲の監視と緊急操作を継続する必要があります。
日本では、アクティブトラックという機能名だけで許可の要否が決まるのではなく、飛行する空域、高度、時間帯、目視の状態、人や物件との距離など、実際の飛行方法によって必要な手続きが変わります。
以下は2026年6月時点の基本的な考え方であり、制度改正や緊急用務空域の指定もあり得るため、飛行前には国土交通省やDIPS2.0の最新情報を確認してください。
障害物検知を過信しない
障害物検知センサーは安全性を高める補助機能ですが、すべての方向、素材、明るさ、速度、飛行モードで同じように働くわけではなく、検知した障害物を必ず回避できる保証もありません。
特に電線、細い枝、葉の少ない木、ネット、透明なガラス、鏡面、暗い壁、逆光下の障害物は認識しにくい可能性があるため、センサーがあることを理由に狭い場所へ入らないことが重要です。
| 障害物 | 注意する理由 |
|---|---|
| 電線 | 細く認識しにくい |
| 細い枝 | 背景に紛れやすい |
| ネット | 形状を捉えにくい |
| ガラス | 透明で反射がある |
| 水面 | 反射や模様が変化する |
| 暗い障害物 | 光量が不足する |
障害物を回避する設定にしている場合でも、機体が予想外の方向へ迂回して別の物体へ近づく可能性があるため、撮影ルートだけでなく迂回できる外側の空間まで確保します。
狭い林道や建物の間で迫力ある映像を狙うより、開けた場所で安全な素材を撮り、編集や画角によって速度感を演出する方が、事故の危険と撮り直しを減らせます。
飛行手続きを確認する
日本では屋外を飛行させる100グラム以上の無人航空機は原則として機体登録が必要であり、登録記号の表示やリモートIDへの対応など、飛行前に済ませるべき手続きがあります。
さらに、空港等の周辺、地表または水面から150メートル以上の空域、人口集中地区の上空などで飛行する場合や、夜間、目視外、人または物件から所定の距離を確保できない方法などで飛行する場合は、許可や承認が必要になることがあります。
- 機体登録の有効性
- 飛行禁止空域
- 人口集中地区
- 空港周辺の空域
- 緊急用務空域
- 目視外飛行の該当性
- 夜間飛行の該当性
- 施設規則や条例
詳しい条件は、国土交通省の無人航空機登録ポータル、飛行禁止空域と飛行方法の案内、飛行許可・承認手続の案内で確認できます。
特定飛行を行う場合には飛行計画の通報や飛行日誌などが必要になるため、許可や承認を取得しただけで準備が完了したと考えず、飛行計画の通報に関する案内も確認してください。
目視と第三者へ配慮する
アクティブトラックで被写体を追っている間も、操縦者が機体と周囲の状況を自分の目で常時監視することが原則であり、送信機のモニターだけを見続ける飛行は目視外飛行に該当する可能性があります。
自分自身を被写体にして走ったり、自転車や車両を運転しながら送信機を持ったりすると、機体の直接監視と緊急操作が難しくなるだけでなく、移動そのものの安全も損なわれます。
撮影では操縦者、被写体、必要に応じて周囲を確認する補助者を分け、第三者や有人航空機が接近した場合に撮影を中断する合図と、緊急時の停止方法を全員で共有してください。
また、追尾中は通行人、住宅、車両、私有地などが継続的に映り込むため、被写体の同意だけでなく、周囲のプライバシー、肖像、騒音、撮影データの公開範囲にも配慮し、必要に応じてぼかしやカットを行いましょう。
安全なアクティブトラック撮影は準備で決まる
ドローンのアクティブトラックは、被写体を指定して追尾モードを開始するだけでも動作しますが、見栄えのよい映像を安全に撮るには、対応機能、センサー範囲、飛行場所、追尾方向、停止方法を事前に確認することが欠かせません。
初めて使うときは、障害物のない広い場所で、歩く人物を後方または斜め後方から短い距離だけ追い、被写体の指定、追尾開始、手動調整、緊急停止、追尾解除という一連の操作を繰り返してください。
追尾が不安定な場合は、機体を被写体へ近づける前に、光量、背景、服装、速度、進行方向、撮影設定を一つずつ見直し、自動追尾が成立しやすい単純な条件へ戻すことが有効です。
障害物検知や自動帰還は操縦者の判断を支える機能であって事故を完全に防ぐものではないため、法令と施設規則を確認し、機体を直接監視できる体制を整え、いつでも自動飛行を解除できる状態で活用しましょう。



