Betaflightでアナログ映像送信機のチャンネルや送信出力を変更しようとしても、Video Transmitterタブに周波数が表示されない、設定を保存してもVTXへ反映されない、OSDに表示される出力と実際の動作が一致しないといった問題が起こることがあります。
こうした症状の多くは、VTXテーブルそのものが未設定であることだけでなく、使用しているVTXの型番、SmartAudioやIRC Trampなどの制御方式、接続したUART、Portsタブの周辺機器設定、テーブル内の周波数や出力値が一致していないことによって発生します。
VTXテーブルは適当なサンプルを読み込めば完了する設定ではなく、VTXメーカーが定める仕様と利用地域のルールに合わせて、使用できるバンド、チャンネル、周波数、出力段階をフライトコントローラーへ伝えるための対応表です。
ここではBetaflight Configuratorの画面から設定する方法とCLIから編集する方法を順番に整理し、FACTORYとCUSTOMの違い、Device readyが有効にならない原因、出力表示がずれる場合の見直し方、日本国内で運用するときに確認すべき事項まで含めて説明します。
BetaflightのVTXテーブル設定は機種別データを正しく読み込むのが基本

BetaflightのVTXテーブル設定で最初に行うべきことは、インターネット上で見つけた汎用ファイルをすぐに読み込むことではなく、搭載しているVTXの正確な製品名と制御プロトコルを確認し、その製品に対応するデータをメーカー資料や信頼できるプリセットから入手することです。
同じ25mW、200mW、400mWという表示を持つVTXでも、Betaflightから送信する内部値は機種やSmartAudioの世代によって異なる場合があり、別製品のテーブルを流用すると画面上では変更できているように見えても実機の出力段階がずれることがあります。
設定作業は、VTXの特定、制御線の配線確認、Portsタブの設定、テーブルの読み込み、保存と再起動、実機状態の確認という順番で進めると、問題が起きた場所を切り分けやすくなります。
VTXの型番を特定する
最初に機体へ搭載されているVTXのメーカー名と製品名を確認し、外観が似ているという理由だけで別モデルのVTXテーブルを使用しないことが重要です。
製品名は基板上の印刷、購入履歴、組み立て説明書、完成機メーカーの部品表などから確認できますが、同じ名称でも製造時期によって最大出力やSmartAudioの世代が変更されている可能性があるため、できるだけ該当するリビジョンの取扱説明書も確認します。
完成機では販売ページにVTXの最大出力だけが書かれ、内部の制御値や対応プロトコルが省略されている場合があるため、機体名だけで検索するのではなく、交換部品として掲載されているVTX単体の仕様までたどると正確な情報を得やすくなります。
型番が分からない状態で設定を試すと、チャンネルは変更できても出力が合わない、特定のバンドだけ映像が出ない、起動するたびに設定が戻るといった複数の症状が重なりやすいため、型番確認を省略して先へ進まないことが結果的には近道です。
制御プロトコルを確認する
アナログVTXをBetaflightから操作する代表的な方式にはTBS SmartAudioとIRC Trampがあり、フライトコントローラーのPortsタブでは実際のVTXが採用している方式を選択する必要があります。
SmartAudioはVTXの制御線をフライトコントローラーのUART TXへ接続する単線方式で、チャンネルや送信出力などを変更できますが、SmartAudio 1.0、2.0、2.1では使用される出力値の考え方が異なる場合があります。
| 制御方式 | Portsタブの選択 | 主な確認点 |
|---|---|---|
| SmartAudio | VTX TBS SmartAudio | 世代と出力値 |
| IRC Tramp | VTX IRC Tramp | 対応出力と周波数 |
| MSP VTX | MSP系の設定 | 機器別手順 |
| 手動切替 | 設定なし | VTX本体のボタン |
HDZeroやOpenVTXなどMSPを利用する機器では利用可能なチャンネルや出力情報を機器側から通知できる構成があり、従来型のSmartAudio用VTXテーブルが不要な場合もあるため、アナログVTXの手順をそのまま当てはめないようにします。
配線先のUARTを確認する
VTXのSmartAudio線またはTramp線は、基本的にフライトコントローラー上の空いているUARTのTXパッドへ接続し、そのUARTと同じ行をPortsタブで設定します。
映像信号を接続するVIDEO OUT、VTXへ電源を供給する5Vや9V、グランド、制御信号を送るSmartAudioまたはTrampは役割が異なるため、映像がゴーグルに映っているだけでは制御線まで正常につながっているとは判断できません。
- VTX制御線の接続先
- 利用したUART番号
- TXパッドへの接続
- 電源電圧の適合
- グランドの導通
- はんだブリッジの有無
機体の配線図でVTXとFCがコネクター接続されている場合でも、コネクター内の制御線が未接続だったり、UART番号が販売時期によって変更されていたりすることがあるため、基板のシルク印刷とメーカー配線図を照合します。
UARTが不足してSoftSerialを利用する構成では、使用できるパッドやタイマーの条件がハードウェアUARTとは異なるため、まず通常のUARTで動作を確認してからSoftSerialへ移行すると原因を絞り込みやすくなります。
Portsタブを正しく設定する
Betaflight ConfiguratorのPortsタブを開いたら、制御線を接続したUARTのPeripherals欄でVTX TBS SmartAudioまたはVTX IRC Trampを選択し、同じUARTの別機能と競合していないことを確認して保存します。
たとえばUART2のTXパッドへSmartAudio線を接続したにもかかわらずUART1の行でSmartAudioを有効にすると、VTXテーブルが正しく読み込まれていてもフライトコントローラーからVTXへ命令が届きません。
受信機、GPS、ESCテレメトリー、カメラ制御などで使用中のUARTへVTX制御を重ねると通信が競合する可能性があるため、FCの配線図と現在のPorts設定を確認し、原則として専用の空きTXを割り当てます。
設定を保存するとフライトコントローラーが再起動するため、再接続後にPortsタブを開いて選択内容が残っていることを確認し、保存前に別タブへ移動して設定を失わないようにします。
機種専用テーブルを選ぶ
VTXテーブルはVTXの対応バンド、各チャンネルの周波数、選択可能な出力段階、Betaflightから送信する出力値をまとめたものであり、製品仕様と一致するファイルを使用する必要があります。
Betaflightの公式資料にはSmartAudioやIRC Tramp向けのサンプルが掲載されていますが、すべての市販VTXを個別に保証する一覧ではないため、利用時にはBetaflight公式のVTX資料とメーカーのマニュアルを照合します。
ConfiguratorのPresetsタブに目的のVTX用プリセットがある場合は、対象ファームウェア、作者、ステータス、説明欄、適用されるCLI内容を確認したうえで使用すると、手作業による入力ミスを減らせます。
製品名が似ていても最大出力が400mW版と800mW版に分かれていたり、出力段階が25、100、200、400mWのモデルと25、200、500、800mWのモデルに分かれていたりするため、候補名だけで判断せず表の内容まで確認します。
周波数と出力値を照合する
VTXテーブルに表示されるPower Labelは利用者が画面上で確認するための名称であり、Power ValueはBetaflightがVTXへ送る制御値なので、ラベルへ希望するmW数を書くだけでは正しい出力になりません。
メーカーが出力値をdBmで示している場合には、25mWに相当する14dBm、100mWに相当する20dBm、400mWに相当する26dBmのような値が使われることがありますが、すべてのVTXがこの数値をそのまま採用するわけではありません。
SmartAudio 2.1対応機器などではVTX固有の出力レベル情報を扱う場合があり、古いSmartAudio向けテーブルを流用すると、OSDの表示と実際に選ばれる段階が一つずれる、最大出力へ切り替えられない、最低出力から動かないといった問題が起こり得ます。
周波数についても一般的なRacebandやBOSCAMの並びだけを基準にせず、VTX内蔵テーブルと受信側ゴーグルの周波数表示を確認し、使用しない周波数は安易に有効化しないことが大切です。
VTXタブで保存する
VTXテーブルを読み込んだ後はVideo Transmitterタブ内にバンド名、チャンネル数、各周波数、出力レベルが表示されていることを確認し、画面下部のSaveを押してフライトコントローラーへ書き込みます。
ファイルを選択して画面に内容が表示されただけではFCへ保存されていないため、タブを閉じる前にSaveを押し、再起動後もテーブルが残っていることを確かめます。
Selected Modeではバンド、チャンネル、出力、Pit Mode、Low Power Disarmなどを指定できますが、テーブルを保存する作業と通常使用するチャンネルを選ぶ作業は分けて考えると設定状況を理解しやすくなります。
設定中のVTXはアンテナを接続せずに通電すると故障する可能性があるため、ベンチ作業でも対応アンテナまたは適切な負荷を取り付け、長時間の高出力動作を避けます。
再起動後に動作を確かめる
設定保存後はUSB接続だけの状態とバッテリーを接続した状態でVTXの挙動が異なる場合があるため、プロペラを外して安全を確保し、アンテナを装着したうえで実際の電源条件でも確認します。
Video TransmitterタブのCurrent ValuesにあるDevice ready、VTX Type、Band、Channel、Frequency、Powerを確認し、選択した内容と現在値が一致していれば、配線、プロトコル、テーブルの基本的な組み合わせは機能していると判断できます。
- Device readyの状態
- 認識されたVTX Type
- 現在の周波数
- 現在の出力表示
- OSDからの変更
- 再起動後の保持
ゴーグル側でも周波数の自動検索だけに頼らず、設定したチャンネルへ手動で合わせて映像を確認すると、近接チャンネルの漏れを目的の周波数として誤認する失敗を防げます。
最終的にはConfigurator、OSDメニュー、送信機側のLuaスクリプトなど複数の操作経路から一度に変更せず、一つの経路で変更して現在値を確認する手順を繰り返すと、どの設定が優先されているかを把握できます。
GUIでVTXテーブルを設定する手順

Betaflight ConfiguratorのGUIを使う方法は、JSON形式のVTXテーブルを読み込み、画面上で周波数と出力値を確認して保存できるため、CLIコマンドに慣れていない利用者にも取り組みやすい方法です。
ただし、ファイル名に使用中のVTX名が含まれているだけで正しいと判断せず、読み込んだ後にバンド数、チャンネル数、FACTORY設定、周波数、Power Value、Power Labelを目視で確認する必要があります。
作業前には現在のdiffまたはdumpを保存し、VTXタブから既存テーブルもファイルへ書き出しておくと、設定を誤った場合でも元の状態へ戻しやすくなります。
JSONファイルを読み込む
Video Transmitterタブを開き、Load from fileを選択して対象VTX用のJSONファイルを読み込むと、VTX Table欄へバンド、チャンネル、周波数、出力レベルが展開されます。
ConfiguratorによってはクリップボードからJSONを読み込む機能もありますが、コピー途中の欠落や不要文字の混入を避けるため、初めて設定する場合は内容を確認できるファイルとして保存してから読み込む方法が扱いやすいです。
- VTXの製品名を確認
- 制御方式を確認
- 対応地域を確認
- JSONを読み込み
- 表の内容を照合
- SaveでFCへ保存
読み込み時にエラーが出る場合は、JSONの構造が壊れている、古いConfigurator向けの形式である、Webページの表示内容をファイルとして保存している、拡張子だけを変更しているといった可能性を確認します。
正常に読み込めても対象機種が違えば設定は正しく機能しないため、エラーが出ないこととVTXに適合していることは別の問題として確認します。
入力項目の意味を理解する
GUIで手入力する場合は各欄の役割を理解し、周波数の表示名とVTXへ送信される制御値を混同しないことが重要です。
特にFactoryを有効にしたバンドでは、Betaflightが実周波数ではなくバンド番号とチャンネル番号をVTXへ送り、VTX側の内蔵テーブルが周波数を決定するため、画面へ入力した周波数は主に表示用として扱われます。
| 入力項目 | 役割 | 確認先 |
|---|---|---|
| Band Name | バンドの表示名 | 製品仕様 |
| Letter | OSD用の略号 | 任意の識別 |
| Factory | 番号送信の指定 | VTX内蔵表 |
| Frequency | 各チャンネルの周波数 | メーカー資料 |
| Power Value | VTXへ送る値 | メーカー資料 |
| Power Label | 画面上の表示 | 対応する出力 |
Power Labelには25、200、800など分かりやすい文字を設定できますが、Power Valueが製品仕様と合っていなければラベルどおりの出力にはならないため、両方を一組として照合します。
使用できないチャンネルを0として登録する構成では、その位置を選択できなくする目的があるため、空欄を埋める感覚で一般的な周波数を追加しないようにします。
設定をバックアップする
動作確認が終わったVTXテーブルはVideo TransmitterタブのSave to fileでJSONとして保存し、機体名、VTX名、Betaflightのバージョン、保存日が分かるファイル名を付けて管理します。
フライトコントローラーのファームウェアを更新したり設定を初期化したりすると、VTXテーブルを再設定する必要が生じる場合があるため、通常のdiff allやdump allと合わせて保管すると復旧作業が楽になります。
複数機を所有している場合は最大出力や対応プロトコルが同じように見えても機種別にファイルを分け、別の機体へ誤って読み込まないようにフォルダー名や機体番号で区別します。
バックアップしたJSONは読み込めることを一度確認し、テキスト編集を行った場合はカンマや括弧の欠落がないかを確認してから実機へ適用します。
CLIでVTXテーブルを編集する方法

CLIを使う方法は、現在登録されているVTXテーブルの全体を確認し、バンドや出力段階を一行ずつ登録できるため、GUIで読み込めない場合やメーカーがCLI形式の設定例を配布している場合に役立ちます。
一方で、数字の入力位置を間違えるとチャンネルと周波数の対応が崩れるため、作業前に既存設定をコピーし、適用するコマンドが自分のBetaflightバージョンとVTXに対応しているかを確認します。
CLIでは最後にsaveを実行するまで変更が保存されないことを利用し、入力後にvtxtableで内容を見直してから保存すると、誤った設定をそのまま確定する危険を減らせます。
現在の登録内容を確認する
CLIタブを開いてvtxtableを実行すると、登録されているバンド数、チャンネル数、各バンドの名称と周波数、出力レベル数、Power Value、Power Labelをまとめて確認できます。
vtx_infoを利用できるバージョンではVTXの出力設定に関する情報を確認でき、get vtxを実行するとVTX関連の設定項目を探せるため、テーブルだけでなく現在選択されているバンドや出力も合わせて確認します。
| CLI入力 | 確認できる内容 | 用途 |
|---|---|---|
| vtxtable | 周波数表と出力表 | 全体の確認 |
| vtx_info | 出力設定情報 | 値の調査 |
| get vtx | VTX関連項目 | 現在値の確認 |
| diff all | 初期値との差分 | バックアップ |
| save | 変更保存と再起動 | 設定の確定 |
表示された内容は作業前にテキストへ保存し、変更後の出力と比較できるようにしておくと、どの行が変わったかを追跡できます。
他人のCLIダンプからVTX部分をコピーする場合は、ファームウェア世代、バンド数、出力レベル数、VTX製品名が一致していることを確かめ、機体全体のdumpをそのまま貼り付けないようにします。
バンドと出力を登録する
CLIで新しいテーブルを作る場合は、最初にvtxtable bandsでバンド数を指定し、vtxtable channelsで各バンドのチャンネル数を指定してから、各バンドの名称、略号、FACTORYまたはCUSTOM、周波数を登録します。
続いてvtxtable powerlevelsで出力段階の数を決め、vtxtable powervaluesへVTXが要求する内部値を並べ、vtxtable powerlabelsへ利用者に表示する出力名を同じ順番で登録します。
- バンド数を指定
- チャンネル数を指定
- 各バンドを登録
- 出力段階数を指定
- Power Valueを登録
- Power Labelを登録
- 内容を再表示
- saveで保存
出力値とラベルは一番低い段階から同じ順番で対応させ、値が三つなのにラベルを四つ設定するような個数の不一致を避けます。
コマンドの入力後はすぐにsaveを実行せず、vtxtableを再度表示して周波数の桁、並び順、バンド名、FACTORY指定、出力値の個数を確認してから保存します。
FACTORYとCUSTOMを使い分ける
FACTORYを指定したバンドではBetaflightがバンド番号とチャンネル番号を送信し、VTXが内蔵している周波数表から実際の周波数を選ぶため、テーブル内の周波数はOSDなどに表示するための情報として使われます。
CUSTOMを指定したバンドではBetaflightが登録した実周波数をVTXへ送信するため、周波数指定に対応する機器で独自の並びを作る場合に利用できます。
VTXの内蔵バンドと一致している一般的なバンドをFACTORYとして使う場合は、入力した表示周波数が内蔵表と食い違っていてもVTXは内蔵表に従うため、ゴーグルで受信できる周波数とOSD表示が異なる可能性があります。
反対に、周波数の直接指定へ対応していないVTXへCUSTOM設定を用いても期待どおりに動作しないため、どちらが自由度の高い設定かではなく、使用機器がどちらの命令方式へ対応しているかで選びます。
VTXテーブルが反映されない原因を切り分ける

VTXテーブルを読み込んでも操作できない場合は、テーブルを何度も入れ替える前に、Device readyの状態、VTX Type、UART設定、配線、電源条件、現在値の順番で確認すると原因を特定しやすくなります。
Device readyが有効にならない問題と、Device readyは有効だが出力表示だけがずれる問題では疑う場所が異なり、前者は主に通信経路、後者は主にテーブル内容やVTX仕様の不一致が関係します。
一度に配線、UART、JSON、ファームウェアをすべて変更すると改善した理由が分からなくなるため、変更点を一つずつ記録しながら再起動後の状態を比較します。
Device readyが有効にならない
Video TransmitterタブのDevice readyがNoまたは未認識のままの場合は、フライトコントローラーとVTXの間でSmartAudioやIRC Trampの通信が成立していない可能性を最初に考えます。
映像が正常に映っていても制御信号は別配線なので、VTXの電源と映像回路が正常であることはSmartAudio線の正常動作を保証しません。
| 疑う場所 | 確認方法 | よくある状態 |
|---|---|---|
| UART番号 | 配線図とPortsを照合 | 別UARTを選択 |
| TXパッド | 基板印刷を確認 | RXへ誤接続 |
| プロトコル | VTX仕様を確認 | SAとTrampの違い |
| はんだ付け | 導通と短絡を確認 | 断線やブリッジ |
| VTX電源 | 実電源で確認 | USBでは未通電 |
| UART競合 | Ports全体を確認 | 他機能と重複 |
USB接続ではFCだけが起動し、VTXへ電源が供給されない構成も多いため、プロペラを外してアンテナを装着し、適切なバッテリー電源を接続した状態で確認します。
それでも認識しない場合は、別の空きUARTへ制御線を移して設定し、特定UARTの故障やリソース競合を切り分けます。
チャンネルが変更できない
Device readyが有効でもチャンネルが変わらない場合は、VTXがロック状態になっている、選択したバンドや周波数に対応していない、FACTORYとCUSTOMの指定が機器の動作に合っていないといった可能性があります。
設定画面では変更後の値が表示されても、VTXが命令を受け付けていなければ再起動後に元へ戻るため、Current ValuesとVTX本体のLED表示を確認します。
- 選択バンドの対応状況
- FACTORY指定の適合
- VTXのロック状態
- 再起動後の現在値
- 本体LEDの表示
- ゴーグル側の手動選局
ゴーグルの自動検索は近い周波数の強い信号を拾う場合があるため、VTX側を変更したつもりでも同じ映像が見え続けることがあり、受信側を指定周波数へ手動設定して確認する必要があります。
周波数を直接入力するモードはVTX側の対応が必要なので、動かない場合は通常のバンドとチャンネルによる設定へ戻し、メーカーが示す標準バンドでテストします。
出力表示が実機と合わない
OSDやConfiguratorには25mWと表示されるのに飛距離や発熱が明らかに異なる場合は、Power LabelとPower Valueの対応がずれている可能性があります。
Power Labelは任意の表示文字なので、そこへ800と入力すればVTXが800mWになるわけではなく、対応するPower Valueがメーカー仕様に合っている必要があります。
同じSmartAudio対応VTXでも世代や製品によって出力制御値が違う場合があるため、別モデルのテーブルからラベルだけを書き換えて使う方法は避け、メーカー資料または対象機種用プリセットを確認します。
正確な送信出力は画面表示や飛距離の感覚だけでは判断できないため、重要な運用では対応する測定器や専門事業者による確認を利用し、VTXの発熱状態だけで出力を断定しないようにします。
日本で安全に運用するための考え方

VTXテーブルへ入力できる周波数や出力であっても、その場所と目的で自由に送信できるとは限らないため、ソフトウェア上の設定可能範囲と法的に利用できる範囲を分けて考える必要があります。
特に海外向け5.8GHzアナログVTXには日本国内のアマチュア無線局で認められていない周波数を送信できる製品があり、製品の購入や受信が可能であることと、実際に電波を発射できることは同じではありません。
使用するVTX、周波数、出力、資格、無線局免許、設備の適合性について最新の案内を確認し、VTXテーブルには実際に使用が認められた範囲だけを登録する運用が安全です。
利用できる周波数を確認する
日本でFPV用VTXを使用する場合は、機器の方式や使用周波数によって必要な資格や無線局免許が異なるため、販売店の説明だけで判断せず、公的機関や保証機関の案内を確認します。
JARDはアマチュア無線によってFPVドローンを利用する場合にアマチュア無線技士の資格とアマチュア無線局免許が必要であり、国内の技術基準に合致した無線設備を使用する必要があると案内しています。
| 確認対象 | 確認する内容 | 主な確認先 |
|---|---|---|
| VTX本体 | 型番と送信仕様 | メーカー資料 |
| 使用周波数 | 国内での利用条件 | 総務省など |
| 無線従事者 | 必要な資格 | 公的案内 |
| 無線局 | 開設や変更手続き | 総合通信局 |
| 設備適合性 | 保証や改造の要否 | 保証機関 |
| 飛行場所 | 施設側の利用条件 | 管理者や主催者 |
具体的な申請や変更手続きは機器と運用状況によって異なるため、JARDのドローンFPV手続き案内などを確認し、不明点は管轄の総合通信局や専門窓口へ相談します。
利用できない周波数を0にしたテーブルを用意しておくと誤操作の防止に役立ちますが、テーブルによる制限だけで法的要件を満たせるわけではないため、資格や免許などの確認も別途行います。
出力を必要以上に上げない
送信出力を高くすると常に映像品質が向上するわけではなく、近距離では受信機の入力が強すぎる、周囲のパイロットへ干渉する、VTXの発熱が増える、電源系統への負荷が高まるといった不利益があります。
飛行距離、アンテナの種類、設置位置、遮蔽物、受信側の性能を考慮し、必要な通信品質を得られる範囲で低い出力から調整することが基本です。
- 低出力から試す
- アンテナを確実に装着
- VTXの通風を確保
- ベンチ通電を短時間に限定
- 周囲の使用チャンネルを確認
- 許可された範囲を厳守
Low Power Disarmを有効にするとディスアーム中の出力を最低段階へ下げられるため、待機中の干渉や発熱を抑えやすくなりますが、フェイルセーフ時の例外や設定モードによる動作の違いも確認します。
Pit Modeは非常に低い出力でベンチ作業を行うために便利ですが、一部のSmartAudio機器では電源投入後にソフトウェアからPit Modeへ入れない場合があるため、対応状況を事前に確認します。
複数人飛行の手順を決める
複数のFPV機が集まる場所では、機体の電源を入れる前に使用チャンネルを割り当て、飛行中のパイロットがいないことを確認する手順を全員で共有します。
高出力のVTXを先に起動すると、周波数が完全に一致していなくても近くの受信機へ強い影響を与えることがあるため、チャンネル管理表を作り、機体名と使用者を明確にします。
VTXテーブルに必要なバンドだけを残し、使わない周波数を選択できないようにしておくと操作ミスを減らせますが、送信機のLuaスクリプト、OSD、VTX本体ボタンなど別の変更経路が残っていないかも確認します。
レースやイベントでは主催者が指定するチャンネル、出力、電源投入のタイミングを優先し、設定変更後はゴーグルの映像だけでなくVTX本体の表示とBetaflightのCurrent Valuesも照合します。
機種情報と実機確認を軸に設定を仕上げよう
BetaflightのVTXテーブルを正しく設定するには、搭載VTXの型番と制御方式を確認し、SmartAudioまたはIRC Trampの制御線を適切なUART TXへ接続して、Portsタブで同じUARTの周辺機器設定を有効にすることが出発点です。
そのうえで対象機種に対応するJSONやプリセットを読み込み、周波数、FACTORYまたはCUSTOM、Power Value、Power Labelをメーカー資料と照合し、Saveでフライトコントローラーへ保存してから再起動後のCurrent Valuesを確認します。
Device readyが有効にならない場合は配線、UART、プロトコル、VTXへの電源供給を優先して調べ、通信できているのに出力だけが合わない場合はVTXテーブルの世代やPower Valueの不一致を疑うと、原因を効率よく切り分けられます。
GUIで解決できないときはCLIのvtxtableで現在内容を確認し、作業前後の設定を保存しながら一項目ずつ修正すると、入力ミスや別機種用データの混入を防げます。
最後に、Betaflight上で選択できる周波数や出力がそのまま利用可能範囲を意味するわけではないため、日本国内の法令、資格、無線局免許、設備の条件、飛行場所のルールを確認し、認められた範囲だけを登録したテーブルで安全に運用することが大切です。


